艶というのは、
磨いた瞬間に完成するものではなく、
“手をかけ続けた時間”そのものだと思います。
今回施工させていただいたのは、
レクサス NX250(ホワイト系)。
昨年、当店でEXキーパーを施工させていただいたお車です。
それから一年。
定期点検のように、メンテナンスのご相談をいただきました。
ただ、実際にお車を拝見して、
正直に言葉を失いました。
「これは……本当に1年経っているのか?」
そう思うほど、完璧な状態でした。
(📸写真①:運転席リアフェンダー/光反射ショット)

■ レクサスが持つ“静寂の艶”
NX250という車は、レクサスの中でも“知的な上質さ”を感じさせる一台です。
派手さよりも品格、主張よりも余裕。
ボディラインも直線と曲線が絶妙に交差し、
**「光を受け止める美しさ」**が際立ちます。
特にホワイト系のNXは、
光の当たる角度によって“冷たい白”にも“温かい白”にも変化します。
そのため、少しの汚れやくすみでも表情が崩れてしまう。
それでも今回のお車は、
一年経ってもその「静寂の艶」がまったく濁っていませんでした。
まるで昨日コーティングを終えたばかりのような透明感。
(📸写真②:助手席リアフェンダーのディテールカット)

■ 「艶を維持する人」こそ、本当のオーナー
このお客様のすごいところは、
“維持の仕方”を完全に理解されていること。
定期的な洗車、正しいシャンプーの使い方、
日陰での拭き上げ、雨上がりの早めの乾拭き。
どれも小さなことですが、それを継続できる方は本当に少ない。
多くの方は、「コーティングしたから安心」と思いがちです。
しかし、本当の艶は“かけた後”から育っていく。
それを知っている方の車は、見ただけでわかります。
触れた瞬間の抵抗感のなさ。
光の動きが直線的で、濁りがない。
ボディが“呼吸している”ような自然な艶。
それが、このNXの状態でした。
研磨を行う理由がまったく見当たらない。
**「手を入れる必要がないほど完璧」**という状態。
職人として、これ以上に嬉しいことはありません。
■ 研磨をしない判断も“技術”
研磨は、魔法のように車を変えます。
でも、本当のプロは「磨かない勇気」も持っています。
車は磨けば磨くほど、膜厚が薄くなります。
だからこそ、研磨を避けられるほどの状態に維持できていることが、
最高のコンディションの証。
今回は塗装面を確認し、
「研磨は不要」と判断しました。
その代わり、
皮膜の再構築を目的とした Bメンテナンス を選択しました。
(📸写真③:サイド全景)

■ EXキーパー「Bメンテナンス」とは
EXキーパーのBメンテナンスは、
ただの“メンテナンス”ではありません。
通常のAメンテナンスが「表面を整える」のに対し、
Bメンテナンスは**「皮膜をさらに厚くする」**工程です。
既存のEX層をベースに、
新たなガラス層を再結合させることで、
膜厚と透明度をさらに高めます。
つまり、単なるリフレッシュではなく、
**“進化型の再施工”**とも言える内容。
塗装に新たな厚みを与えることで、
深みと艶がより安定し、
光沢の「伸び」が一層際立ちます。
この工程を選ぶかどうかは、
“日頃の管理状態”によって大きく変わります。
今回は完璧な管理がされていたからこそ、
Bメンテナンスが最大限の効果を発揮できました。
(📸写真④:助手席リアフェンダー・ローアングル)
■ “守る”から“育てる”へ
EXキーパーは、単に塗装を守るためのものではありません。
“艶を育てていく”コーティングです。
Bメンテナンスを終えたNX250は、
1年前よりもさらに光沢の層が厚くなり、
まるで艶が“呼吸”しているかのように見えます。
照明の下では、白の中にわずかな「青み」が現れ、
光を包み込むような優しい反射を見せる。
これは、被膜が複層的に結合した証拠です。
触ると、まるでシルクのような手触り。
滑らかさの中に、微かな“張り”を感じます。
それが、Bメンテナンス後特有の質感。
艶は、塗装が語る“物語”の続きを書くようなもの。
その一章を、今回また重ねられた気がします。
■ そして、これから
仕上がった車を前に、
お客様がふと漏らされた一言が忘れられません。
「この一年、本当に気持ちよく乗れました。」
この言葉に、すべてが詰まっています。
艶を保つ喜び、車と向き合う楽しさ、
そして“またこのお店に任せたい”という信頼。
私たちの仕事は、
一度きれいにして終わりではありません。
きれいを維持する、その時間に寄り添うこと。
今回のNX250のように、
手をかけてくださるお客様がいるからこそ、
私たちは「次の美しさ」を提供できる。
研磨をせずに済むというのは、
お客様が1年間、車と真剣に向き合ってくださった証拠です。
だからこそ、
「これからもきれいのお手伝いをさせていただきたい」
という言葉を心から伝えたい。
(📸写真⑤:完成全景)

■ 終わりに──艶の“終点”は、オーナーの心にある
コーティングは技術。
でも、維持は愛情。
今回のNX250は、
その両方が完璧に噛み合った一台でした。
艶を極めるのは職人の腕ですが、
艶を続けるのはオーナーの意識。
その二つが合わさったとき、
車は“時間を超える輝き”を見せます。
Bメンテナンスを終えたこのNXは、
まさにその象徴。
「守る」から「育てる」へ。
その旅の続きを、これからも一緒に歩んでいきます。
艶をつくるのは私たち。
でも、それを輝かせ続けるのはお客様。
これからも、
一台一台に“物語の続きを書くように”手を添えていきます。
