RAV4・グレー × クリスタルキーパー施工記録

「まだ納車して間もないのに、コーティングした方がいいんですか?」
この質問は、今でもよくいただきます。

今回施工させていただいたのは、
トヨタ RAV4(グレー)
走行距離わずか 200km以内 の、ほぼ新車の状態でした。

それでも、塗装面には鉄粉がしっかり付着していました。
新車だからこそ安全、という時代は、もう過去の話です。


■ 「新車=きれい」ではない現実

まず最初にお伝えしたいのは、
「新車=汚れていない」ではないということ。

車は、製造工場を出た瞬間から外気にさらされます。
輸送・保管・陸送・納車整備──
そのどの過程でも、鉄粉が飛び交う環境にあります。

特にRAV4のようなSUVは、
ホイール周辺やフェンダー部にブレーキダストが付きやすく、
納車時点で既に“目に見えない鉄粉の膜”をまとっています。

今回も、専用の鉄粉除去剤を吹きかけると、
ボディが紫色に反応し始めました。
「これが、たった200kmで…?」と、お客様も驚かれていました。

(📸写真①:施工前全景・照明下)


■ 鉄粉を「落とす」のではなく、「残さない」

鉄粉除去の作業は、ただ薬剤を使えば良いわけではありません。
反応後、どのタイミングで拭き取り、
どの程度までケミカルで処理するか──
それを誤ると、塗装を傷めたり、逆に鉄粉を引きずってしまうこともあります。

私たちは、
「鉄粉を落とす」ではなく「鉄粉を残さない」ことを目標にしています。

除去剤で化学反応を起こしたあと、
表面を柔らかいクロスで包み込むように優しく除去。
その後、純水でしっかりと洗い流し、
**“完全にリセットされた塗装”**の状態に戻します。

ここまで丁寧にやる理由は一つ。
この下地が、クリスタルキーパーの艶と耐久性を左右するからです。

(📸写真②:)


■ クリスタルキーパーは「シンプルの中の本質」

クリスタルキーパーは、キーパーシリーズの中でも
最もスタンダードで、最も選ばれているコーティングです。
ただし、それは“簡単だから”ではありません。

2層構造のうち、下層のガラス被膜が塗装を守り、
上層のレジン被膜が水シミを防ぐ。
この“二層のバランス”こそが、
施工者の腕をもっとも試すポイントです。

塗りすぎればムラになり、
拭き取りが甘ければ残りジミになる。
つまり、“作業の簡略化”を許さない仕組みになっているのです。

今回のRAV4も、ボディサイズが大きく面積が広いため、
部分ごとに乾燥スピードを計算しながら施工しました。
この繊細なコントロールが、
艶の深みと膜厚の均一さを決定づけます。

(📸写真③:)


■ 「知られていないこと」を伝える力

これまで、「新車でも鉄粉は付いている」という話をすると、
驚かれる方がほとんどでした。
そしてその多くが、私のことを以前から知ってくださっていたお客様です。

でも最近では、初めて来店された方も、
「やっぱり新車でも鉄粉って付くんですよね?」と、
先に知識を持ってご来店されるようになりました。

これは本当に嬉しい変化です。

“有名になる”ということは、
ただ名前が知られることではなく、
正しい情報が届いているということ。
それが、お客様の安心につながる。

SNSやブログで地道に発信を続けてきた結果、
少しずつ「正しい知識が広がっている」ことを感じます。

(📸写真④:)


■ “有名”になる理由は一つ。誠実でありたいから。

当店を選んでくださるお客様の多くが、
「○○さんのところなら間違いないと思って」と言ってくださいます。
それは、私にとって一番の褒め言葉です。

なぜなら、“技術”は真似できても、“誠実さ”は真似できないからです。

どれだけ知識を発信しても、
実際に現場で手を抜けばすぐにバレます。
逆に、誠実に仕事をしていれば、
口コミは時間をかけてでも必ず広がる。

有名になりたいのは、
“自分が注目されたい”からではありません。
“お客様が正しい選択をできる社会にしたい”から。

「新車でも鉄粉はついている」
この一言を常識にするために、
これからも現場と発信を続けていきます。


■ 誰が見てもわかる「整った艶」

施工を終え、ライトを当てると、
グレーのボディが鏡のように周囲を映し込みました。

グレーという色は、
“中間色”だからこそ艶の均一さがもっとも出やすい。
少しでもムラがあると、それがすぐに影として見えてしまいます。

しかし今回は、
どの角度から見ても光が途切れない仕上がり。
**「整った艶」**という言葉がぴったりです。

お客様にも仕上がりを見ていただき、
「新車よりきれい」と笑顔でおっしゃってくださいました。
その瞬間、すべての工程の苦労が報われます。


■ 終わりに──正しい知識が、美しさを守る

今回のRAV4を通して、改めて感じました。

「知識を持っていること」は、お客様自身を守る力になる。
知らなければ、「新車だから大丈夫」と思ってしまう。
でも実際は、その“思い込み”が塗装を傷める原因になることもあります。

そして、その知識を届けるのが、私たち施工店の役目。
発信も施工も、どちらも“お客様を守る仕事”です。

当店の知名度が少しずつ上がり、
「新車でも鉄粉はつく」「下地が大事」という言葉が広まっている。
それは誇りであり、責任でもあります。

どんなに車が進化しても、
“最後に輝きを決めるのは人の手”
これからもその手に、正しい知識と誠意を込めて。