「高級車だから、最初からきれいだと思っていました。」
お客様がそう話されながらご来店されたのは、
メルセデス・ベンツ E220d All-Terrain(ホワイト系)。
真っ白なボディは、
上品でありながら、少しのくもりやムラでもすぐに目立ってしまう繊細な色です。
一見ピカピカに見えても、職人の目から見れば
**“光が濁っている”**瞬間がはっきりわかる。
今回の施工は、当店でも人気の
**「1ステップ研磨付き・エコダイヤキーパー」**コース。
細部まで徹底して整え、誰が見ても違いがわかる純白の艶を取り戻しました。
(📸写真①:施工前・全体写真)


■ 「白」は誤魔化せない色
白い車の美しさは、「清潔感」にあります。
しかしその“清潔感”ほど、維持するのが難しいものはありません。
黒い車が光を“吸収して艶を出す”のに対し、
白い車は光を“反射して艶を見せる”。
つまり、表面が整っていなければ、
どんなにコーティングをかけてもくすんで見えてしまうのです。
塗装の乱れ、微細な水ジミ、洗車キズ。
それらを整えるのが、今回の1ステップ研磨の目的でした。

■ 1ステップ研磨──“一回で決める精度”
1ステップ研磨は、
一見“軽い磨き”のように思われがちですが、
実際には職人の感覚と経験が最も問われる工程です。
使うコンパウンドの粒度、ポリッシャーの回転数、
パッドの硬さ、塗装の温度。
そのすべてを塗装の状態に合わせて調整し、
**「削る」ではなく「整える」**を徹底します。
E220dの塗装は密度が高く、熱伝導もゆるやか。
短時間で磨こうとすれば、熱ムラが起き、艶が鈍ります。
当店では、時間を惜しまずゆっくり丁寧に仕上げ、
**“白が白らしく光る”**状態を作り上げました。
■ 「シミが落ちない」は言い訳にしない
白い車にとって、最大の敵は“水ジミ”です。
淡い色の塗装では、酸化やミネラルの沈着が
透明度を奪い、艶を一気に鈍らせます。
今回のE220dにも、
キーパー標準研磨では落ち切らない酸化系のシミが見られました。
特にルーフやピラー部は、
日差しと雨の影響をもっとも受けやすい場所です。
当店では、その部分に専用の低侵攻リムーバーを使用。
塗装を痛めず、酸化膜だけを丁寧に分解除去しました。
“目立たないからいい”ではなく、
「残さない」ことが次の艶を決める。
これが、私たちのこだわりです。


■ 樹脂もガラスも、すべてが主役
白い車ほど、細部の汚れやくすみが際立ちます。
そのため今回の施工では、
樹脂パーツ・窓ガラス・メッキモールまで一切手を抜かず仕上げました。
樹脂には専用のガードコートを使用し、
紫外線による白化を防止。
窓は全面撥水コートを施し、
雨の日でも水滴がスッと流れるように。
そしてモール類も丁寧に磨き上げ、
“白の中にある金属の質感”を際立たせました。
これにより、全体の印象が一段と締まり、
清潔感と高級感が両立する仕上がりとなりました。
(📸写真④:)

■ 時短なしの「自然硬化」
施工後の硬化工程にも、
当店ならではのこだわりがあります。
近年はヒーターによる強制乾燥が主流ですが、
私たちはあえて**“自然硬化”**を選びます。
理由は一つ。
ガラス被膜は、時間をかけて結晶化するほど透明度が増すからです。
化学反応の速度をコントロールしながら、
一定の温度・湿度で24時間かけて硬化。
時間はかかりますが、
その分、艶の“深み”と“伸び”が段違いに違う。
白い塗装は光をよく拾うため、
この透明度の違いが特に顕著に現れます。
時短では出せない、柔らかい光の反射。
それが、“本物の白の艶”です。
(📸写真⑤:自然硬化中のブース内反射)

■ 誰が見ても違いがわかる「純白の艶」
最終チェックのライトを当てた瞬間、
ブースの天井がそのまま映り込みました。
光が跳ねるように反射するのではなく、
まるでボディ全体が光を“包み込む”ような艶。
白は派手ではありません。
でも、整った白は、どんな色よりも存在感がある。
見る人の目が自然と止まる、そんな輝きです。
お客様にも仕上がりを見ていただき、
「同じ白なのに、明るさが全然違う」とお喜びの声をいただきました。
研磨と自然硬化が生み出した“光の純度”を、
しっかりと感じていただけたと思います。
(📸写真⑥:完成全景・リフレクション)




■ 終わりに──本物の艶は「時間の使い方」で決まる
今回のE220dオールテレインを通して、
改めて実感しました。
“艶”は、時間の使い方で決まる。
白という色は、嘘がつけない。
ごまかしも効かない。
だからこそ、正確さと丁寧さが何より大切になります。
1ステップ研磨、酸化除去、自然硬化。
どれも手間のかかる工程ですが、
その一つ一つに意味がある。
本物の艶とは、「省かない勇気」から生まれる。
そして、その艶を見た瞬間にお客様が笑顔になる。
それが、この仕事のすべてだと思います。

